トップ 商品づくりの現場から / BODY 【特集/姿勢に自信ありますか?】姿勢をサポートする「美翼のブラ」開発秘話

インサイドストーリー

商品づくりの現場から

2014年9月 3日

語り/坂本晶子(ワコール人間科学研究所)
取材・文/大庭典子(ライター)

BODY

【特集/姿勢に自信ありますか?】

姿勢をサポートする「美翼のブラ」開発秘話

下着で姿勢を整えることができたらうれしいけれど、圧迫感のあるものは疲れてしまいそう...。そんな声に応えるべく、誕生した『美翼のブラ』。ソフトな肌感覚を感じながら、美しい姿勢をサポートするこの新商品が完成するまでの秘話を初公開! ワコール人間科学研究所開発担当の坂本晶子が語ります。 美翼のブラ ――『美翼のブラ』は、どのような発想から生まれたのでしょうか? 

坂本
 「はい。美しい姿勢をサポートする商品は、意外かもしれませんが、 "デコルテ"への注目から始まりました。デコルテラインは、年齢とともに削げて、さびしくなってしまうなど、見た目年齢に大きく関わっています。女性の若々しさを考えたときに、重要な部分であるデコルテを美しく見せる商品があったら...というところから開発がスタートしたのです」

――それは予想外でした。確かにシャツや開きの深いVネックの服を着たとき、デコルテのきれいな人は若々しく見えますよね。

坂本
 「その通りです。では、張りがある若々しいデコルテを目ざすには何が必要なんだろう、どんなアプローチがブラジャーにできるだろう、と研究を進めていくうちに、"肩甲骨"というキーワードが出てきました」

――デコルテと肩甲骨。一見無関係のようにも思えるのですが...?

坂本
 「そうですよね。一見無関係に見えますが、加齢とともに肩甲骨が離れてしまうと、前肩になり、背筋が丸まり、あごを突き出した姿勢になり、胸が張れなくなります。その結果、デコルテのエイジング感につながってしまう...ということが、測定データの分析や専門家からの指導でわかってきました。

その解決策として、肩甲骨を背中の中心に寄せる力をかけることができれば、丸まっていた肩や背筋のラインもまっすぐになり、張りのあるデコルテ、若々しいデコルテにつながる、と考えたのです」

――なるほど。肩甲骨とデコルテはともに若々しさのキーワードなのですね。

坂本
 「はい。肩甲骨を背中の中心に寄せる力をかけるために、ストレッチ性のある生地で両脇から斜め上方向に力をかけて、ストラップを下図にあるようなクロスバックラインにしました。右斜め下と左斜め下からかけた力をストラップで左右斜め上に引くことでうまく力がかかっています。そうすることで肩甲骨を背中の中心に寄せ、背筋も伸び、自然と胸が開くという仕組みなのです」 美翼のブラ・ストラップ図 ――着けたときの圧迫感はどうなのでしょう?

坂本
 「下着によって、カチっと締め付けられるような力がかかるのは、年齢とともにやや苦しく感じるようになる、というお客さまからのアンケート結果もあり、この商品を開発するにあたって、圧迫感についてはすごく時間をかけたところです。

姿勢を正しく、美しく保ちながら、肌感覚はソフトなものをつくりたい、と生地の厚みやストレッチ性をどこまで効かせるかなど、何度も試行錯誤を重ねました」

――斜めラインのバックスタイルを考えると、フロントホックが必然となったのですね。

坂本
 「はい。年齢とともに背中に手を回してホックを留めるのがつらい、という声も届いていましたので、それに応える意味でもフロントホックがいいと考えました。さらに、着用時に、脇からカップにバストをおさめることもフロントホックなら自然にできます。また、構造上のことで言うならば、斜めラインもそうですが、もうひとつ、本来ホックがある背中側に菱形の布を設置しているんです。この布も実は、美しい姿勢を導くためのとっておきの秘策なんですよ」 美翼のブラの拡大イメージ ――確かにこの布、気になっていました。いったいどんな役割があるのですか?

坂本
 「若い世代とシニア世代の姿勢における違いは3つあります。1)胸が張れないこと、2)背中が伸びないこと、3)肩が前に出ていること。これは、"胸椎(きょうつい)"の動きと大きな関係があるのです。ですから、私たちは開発にあたり、肩甲骨とともに"胸椎"にも注目しました。

専門家の方にお伺いすると、胸椎は加齢とともに柔軟性が低下し、動きが鈍くなる部位だとのこと。上から順に第1胸椎、第2胸椎...と12個存在しますが、年齢とともに特に可動量が少なくなるのが、4番、5番で、逆に可動量が年齢に左右されにくいのが7番、8番の胸椎だということもわかりました」

――同じ胸椎のなかでも、年齢とともに動きが小さくなる場所とそうでない場所があるのですね。

坂本
 「はい。しかも7番、8番というのは、特に姿勢にも影響が大きく、この部分を軽い力で押すだけでも自然と背筋がまっすぐになるんですね。この場所を下着でサポートすれば、美しい姿勢につながるのでは、と考えました」

――下着を着けると、この布がちょうど第7胸椎に当たるようにできている、ということですか?

坂本
 「そうです。布="面"の力で第7胸椎を押しているということ。布が当たることで背筋が自然と伸びるのです

胸椎の図 ――...すごいですね。実際に着用した人からはどんな声が?

坂本
 「はい、うれしいことに『背筋が伸びた感じがある』との声が多かったです。そして実際にシルエットを見てみると、ヌードの状態と比べて姿勢改善がされていることも測定できました」

――シルエットで目に見えると実感しますね。このブラジャーにこんなにたくさんの仕掛けがあったことに驚きました(笑)。完成までにどれくらいの年月がかかったのでしょうか?

坂本
 「2年ほどかかりました」

――2年間も! 長い年月ですね。
坂本
 「美しさと快適性を両立するブラがどうしても作りたかったんです。どこに布を設置するか、いちばん効果的な場所を探すだけでも半年くらいかかっています」

――背筋の美しさをサポートしてくれるこのブラジャーで、若々しさや姿勢のよさが手に入ったら、毎日の生活まで楽しくなりそう。今日は、ありがとうございました。
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坂本晶子(さかもと・あきこ) 1990年ワコール入社以来、10年以上、ベビーからジュニア、マタニティ、シニア世代まであらゆる世代の人体計測を担当。その後、製品開発課で、「スタイルサイエンスシリーズ」の開発に従事。フィットネスウォーカーを誕生させた。姿勢美研究を経て、姿勢美を実現させるキャミソールやボトムス(着席美人)、美翼のブラなどの開発に携わる。現在人間科学研究所開発一課課長。

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