トップ 教えて、ドクター! / BODY 【特集/眠りと美の深い関係】午前中の光は、生まれ変わる肌にも影響!?

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教えて、ドクター!

2013年11月20日

先生/肥田昌子(国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所 精神生理研究部室長)
取材・文/大庭典子(ライター)

BODY

【特集/眠りと美の深い関係】

午前中の光は、生まれ変わる肌にも影響!?

Image 人のからだの細胞ひとつひとつにある体内時計を統率している親時計は、起床後浴びる光によって毎日リセットされます。そのリズムを整えるためにも一定の時間に起床することが大切だということがわかりました。

規則正しく生活するのが健康にいいとはよく聞きますが、それはイコール体内時計を整えることでもあったのですね。引き続き、肥田先生に体内時計と睡眠の関係について、お伺いしました。

朝の光は脳にある体内時計をリセットするだけでなく、メラトニンの分泌にも関わっています。睡眠を促すホルモン、メラトニンはふだん入眠時間の2~3時間前から出始め、眠りを誘発します。

メラトニンが正常に分泌されるには、日照量も関係があるので、遅く起きてしまうと、光を浴びる時間も短くなってしまい、結果日照量不足でメラトニン分泌量が減ってしまうことも。メラトニンをきちんと出すためにも、やはり午前中の光は大切です。

さらに、メラトニンには、皮膚を保護する働きもあるんですよ。メラトニン分泌のリズムを見てみると、光を浴びた14~15時間後に出始め、寝ている間にピークを迎え、起きる時間には分泌が減り、活動している日中はほとんど出ていません。メラトニンは、夜間に多く分泌されるホルモンなのです。

ところで、DNAの修復は日中ではなく、夜の時間帯に行われていることはご存じですか?なぜ夜かというと、日中は紫外線などの悪い影響で、エラーが引き起こされてしまうおそれがあるからです。

肌の修復や再生、新陳代謝なども行われるのは、夜。成長ホルモンも眠り始めの徐波睡眠という深い睡眠時に多く分泌され、肌を再生、修復してくれるのです。

ですから、体内時計が"今は日中なのか夜なのか"をきちんと認識できていることはとても大切です。現代は"生活の24時間化"と言われるくらい人工照明によって、夜本来の暗い時間が短くなっています。眠りにつく前には照明を落として、意識的に"夜の暗さ"をつくり出すことは、美容にも効果があるかもしれませんね。

残念ながら年齢とともに、成長ホルモンやメラトニンなどの分泌は減ってしまいますが、それでも、今の年齢の自分が出せる最大量が出せるように改善されれば、美肌や健康にプラスの効果が出るでしょう。
"社会的時差ボケ"が不調の大きな原因に
人間や動物のからだはひとつに繋がっていますから、親時計が"朝"だと感じたら、子時計にも伝わるはずですが、脳にある親時計と首から下の子時計がバラバラの動きをしてしまうと、眠れない、体調がすぐれないなど不調が生まれる原因となります。

わかりやすい例で言うと"時差ボケ"ですね。海外旅行などで、日本では真夜中でも、今いる場所が朝ならば、目から光が届くことによって親時計は"朝"を認識して、起きていることはできます。

ところが首から下の子時計は時差による大幅なズレを即座に正すことができず、日本時間のままでいると、親時計と子時計が同調せず、胃腸の調子を崩す、眠れないなどの症状が出てしまいます。

親時計と子時計を同調させることは、体調を整えるのにも効果的。毎日の生活でも光を浴びて親時計をリセットしたら、朝食をとって臓器を動かすなど、首から下の子時計も目覚めさせ、親時計と子時計を同調させるといいでしょう。

現代社会の生活は、夜の時間帯にも明るい光があふれていること、平日に抱えた慢性的寝不足、午前中の光が十分に浴びられないほど遅くまで寝てしまう休日など、睡眠にとっては決していい環境とは言えません。そのため、実際の生活時間に体内時計がついていけず、眠りに不安や問題を抱える人が急増しています。

これは、"社会的時差ボケ"とも言われる症状で、からだの不調の大きな原因なのです。慢性的になると睡眠障害にもつながる危険性もあります。

本来ならば、自分の体内時計に合った生活するのが健康にも美容にもいちばんいいのですが...自分だけのタイミングで出社するわけにもいきませんし、社会的時差ボケを止めるのはなかなか難しい現状ではあります。ただ、個人の睡眠の特徴は生活環境に大きな影響を受けるものなので、日々の生活に改善の余地は多いにあるのです。

午前中に光を浴びる、夜の照明を落とす、朝食をとる、など簡単に取り入れられる習慣で体内時計が整い、睡眠の質の向上にもつながるかもしれません。ぜひ試してください」

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肥田昌子 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神生理研究部室長。東京大学大学院医学系研究科分子細胞生物学専攻修了、医学博士。03年、米国ヴァンダービルト大学リサーチアソシエイトを経て、09年から現職に。時間生物学、分子生物学を専門にした研究を行っている。生体組織を利用したヒト生物時計機能評価に関する研究成果で、日本時間生物学会第18回学術大会において優秀ポスター賞、日本睡眠学会第37回・第41回定期学術集会にてベストプレゼンテーション賞、第19回日本睡眠学会研究奨励賞を授与。

イラスト/190

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