『痩せ』を応援する脂肪とは?

特集/“痩せ”と“脂肪”の関係

先生/河田照雄(京都大学大学院 農学研究科 教授)

----褐色脂肪細胞は少量しか存在しないにもかかわらず、その脂肪燃焼力は熱産生が行われている骨格筋の70〜100倍あるのだとか。ベージュ脂肪細胞を活性化する方法は研究中ですが、褐色脂肪細胞を活性化&増量する方法は解明されています。具体的にどんなことをすればいいのか、引き続き河田先生に教えていただきました。

おいしく食事をすることで
褐色脂肪細胞は活性化する

白色脂肪細胞は、皮下や内臓周辺に多くあるのに対し、褐色脂肪細胞は肩甲間(肩甲骨と肩甲骨の間)、腋下部(脇の下)や腎臓周辺など限定された場所に少量しか存在していません。夏より熱産生の必要性が高まる冬に褐色脂肪が増加する性質があることから、活性化するには寒冷刺激を与えることが効果的ですが、日常生活に取り入れるのは難しいですよね。そこで注目されているのが「食」です。

摂取した栄養素と酸素が化学反応を起こし、二酸化炭素を産生するというメカニズムを利用して、手料理をおいしいと感じながら食べた場合と、同じ料理をミキサーで撹拌した後、フリーズドライにしたものを食べた場合のエネルギー消費量を比較してみると...。「おいしい」と感じながら食べたほうが、褐色脂肪細胞が活性化したのです。栄養学的には同じでも、「おいしい」と感じるかどうかによってエネルギー消費が変わってくることがわかったのです。加齢による褐色脂肪細胞の減少量は個人差がありますが、「おいしく、楽しく食べているか」という部分も、個人差に関係しているのかもしれません。もちろん、おいしくても食べすぎはNGですよ。

唐辛子や魚油も褐色脂肪細胞を
活性化するキーワード

また、交感神経を活性化すると、ノルアドレナリンや アドレナリンといった神経伝達物質が分泌され、褐色脂肪細胞が活性化することが明らかになっています。広く知られているのが、唐辛子の辛味成分カプサイシンの脂肪燃焼や熱産生を高める効果。同様に、ショウガのパラドールやコーヒーのカフェイン、魚油のEPAやDHAも褐色脂肪細胞を活性化します。EPAやDHAは、サプリメントでも同様の効果を得られるのか聞かれることが多いのですが、交感神経に訴えるなら魚のほうがベターです。 標準体重から体脂肪が3kg分(上の写真)増えると、生活習慣病のリスクが一気に加速します。ただし、これだけの脂肪を短期間に減らすのは難しい。半年かけて、体脂肪(体重でも可)を3kg落とすことを目標にしてみてください。

----運動をあまりしないことから、食品の働きを上手く利用して健康になれる方法はないか。そんな想いから、食品分子機能学を専攻したという河田先生。適度な運動の必要性はわかっていても、なかなか習慣にできないものですが、おいしく食べることなら継続できますよね。今日から唐辛子と魚も積極的にとりたいと思います。
河田照雄

河田照雄 京都大学大学院 農学研究科 食品分子機能学分野 教授。農学博士。健康維持や肥満・メタボの予防・改善に役立つ食品の働きを、遺伝子やたんぱく質の働きと関連づけて系統的、論理的に研究している。2001年から、京都大学学際融合教育研究推進センター生理化学研究ユニット教授を兼任。2013年日本栄養・食糧学会賞受賞。2015年日本農芸化学会賞受賞。

取材・文/山崎潤子(ライター)
イラスト/はまだなぎさ

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