歩くことは生命の源!

特集/あなたの足、大丈夫?

先生/阿部 薫(新潟医療福祉大学 教授
義肢装具士 博士)
取材・文/大庭典子(ライター)

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足の構造を知ることが美脚の始まり

美しい人の必須条件でもある"美しい歩き姿"。日常生活において、意識せずとも自然に行っている"歩く"という動作ですが、みなさんは自分の足や歩き方についてどのくらい把握していますか?

歩くうえで欠かせない靴ですが、踵(かかと)やつま先がすぐに痛くなるなど、相性ぴったりの一品を見つけるのは、至難の業。買ったばかりの靴を何足もお蔵入りにした人も多いでしょう。靴との関係を見直すには...、足の構造を理解することが重要です。新潟医療福祉大学の阿部薫先生にご登場いただき、お話をお伺いしました。

「まず初めに歩くことの意味を考えてみましょう。動物にとって、歩くという動作は生命線です。なぜならば、歩行して移動できなければ、エサを取りに行くことができません。エサを食べられなければ、生命の危機にさらされてしまうのです。

つまり歩行とは、生命を維持するために欠かせないもの。社会が進化、成熟した現代では、私たちは歩かずとも食べ物を手に入れることができますが、人間も動物であることに変わりはありません。立つこと、歩くことは本能的なことであり、生命力の源なのです。

私たちの脳には生まれながらに歩き方のスタンダードがプログラムされています。誰に教えられなくても歩けるようになるのがその証。そのスタンダードは普遍的なものであり、時代や国、人の好みによって変わるものではありません。だからこそ、街行く人を見て「あの人の歩き方はかっこいい!」と"美しい歩き方"の感覚を他人と共有できるのです。時代や国が違えば定義が変わる"美人"のような(笑)、流動的なものではありません。

上手に歩ける=生きる力が強い、と言ってもいいほど、歩くという行為は本能的なもの。強い種を見分けるためにも人は、歩き方から"個"を判断する繊細な感覚も持ちあわせています。その人特有の足の引きずり方や体重のかけ方、左右の歩幅の違いから生じる100分の1秒の音の違いすら聞き分け、足音から「あ、部長が来た!」などと個人の足音を認識できるのです。

足の成長を決定するゴールデンエイジ期はいつ?

次に歩行を担う部位、"足"について考えていきましょう。生きることに直結した大切な部位ですから、全体に対して占める筋肉量の割合も大きく、脚には全身の筋肉の約4割、体重の約3分の1が割り当てられています。

では、足の骨格はどうでしょう。足首から下までの骨は、片足26個、両足で52個もあることはご存知ですか? これは全身の骨、約200個のうちの4分の1に相当。足首から下には、小さな骨が密集しているのです。足首から下のこれらの小さな骨は、全体重を支えるには、あまりにも弱く、だからこそ足にはトラブルが絶えないのです。

片足に26個の骨があるとお伝えしましたが、実は生まれたときは、16個しかないんですよ。人間には、足の骨が成長する時期があるのです。成長時期には、男女差がありますが、女の子だと、4〜5歳から8歳ごろまで、幼稚園年中頃〜小学校3、4年生頃に完成します。ここで26個の骨ができ、この時期を過ぎたら、あとはその形のまま拡大していくだけなのです。

足が成長する8歳までのゴールデンエイジ期に走り回ったり、ジャンプしたりと、足の筋肉を使うことで、その筋肉が付いている骨も頑丈になります。この時期に十分な運動をしていなかったり、合わない靴を履いていると、たとえば踵が細く、短いまま成長がストップしてしまいます。

20代、30代に増えている踵の後ろにカーブがない"絶壁踵"も、この時期に十分に骨を鍛えなかったことが一因です。パンプスの踵がパカパカしたり、足首のバックストラップがすぐ外れるなど、心当たりがありませんか?

"そんなの知らなかった"...とガッカリしている方、ご安心を。ゴールデンエイジに鍛えられなかった足や日々の生活で変形してしまった足にも、快適に歩くための秘策はあります。次回は、自分の靴をチェックするところから始めましょう。よく履いている靴を用意してください」。

歩くことが食べることにつながり、すなわち生きることと直結している、とは驚きの事実でした。次回の靴チェックをお楽しみに!
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阿部 薫 新潟医療福祉大学 教授 博士 義肢装具士 (総合社会文化)
大学院 義肢装具自立支援学分野長(博士/修士課程)、医療技術学部 義肢装具自立支援学科。靴医学、運動機能解剖学、歩行分析学、義肢装具学が専門。平成21年度より同大学大学院にて、日本で初めて靴とヒトの歩行の関係を科学的に研究する「靴人間科学」講座を担当している。靴の研究の第一人者として、日本だけでなく、世界各国の企業のアドバイザーや研究顧問を務める。「好きな靴を快適に履くため」のユーモアに富んだわかりやすい講義は、さまざまな年代層から熱い支持を集める。

イラスト/190

からだ用語辞典: 足の骨格

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