肩甲骨とデコルテ、バストの深い関係!

特集/背中美人は肩甲骨から!

中村格子(整形外科医)
取材・文/大庭典子(ライター)

Image

エイジングボディの分かれ道は35歳から!

前回「柔軟で動きのいい背中は若さの象徴」とお伝えしましたが、実際、背筋のピッと伸びた姿勢、余分なお肉やたるみのない後ろ姿は、それだけで若々しく美しく見えます。実はこの見た目年齢は、からだの機能と深く関係しているのだとか。引き続き、中村格子先生にお伺いしました。

見た目の若さは、実は運動器年齢にほぼ相関しています。つまり、見た目が若く見える人は、骨や関節、筋肉の年齢が若くからだの機能も若いということ。肩こりや腰痛のない機能美のあるからだが見た目の若さに現れるのです。

ただ、この見た目年齢というのがなかなかやっかいで、誰もが自分に対して、採点が相当甘くなるのです。同窓会に行った患者さんの話を聞くと、声をそろえて『私がいちばん若かった』と言います(笑)。自分のことはあまり正確には見えてないことも多いのです。自分自身は普段から見慣れているので、その変化に疎い。数年ぶりに会う他人は、変わり果てて老けて見える...という。誰もが自分のボディを現実より何割増しのプラスのイメージで見ているのです。

ですから、自分の若さや美しさをキープ、向上させたいなら、常に自分のからだを"見張り"ましょう。特に、肩甲骨の動きなど背中部分は、見えにくい箇所なので、合わせ鏡で映したり、動画機能がついているスマホでご自身の後ろ姿を撮ってみるのもいいと思います。最初はびっくりするかもしれませんが...現実を直視し、気づくことも大事。

年齢を重ねれば重ねるほど、からだの見た目、機能の個人差は広がっていきますが、大きな分かれ道は35歳。ここで、自分のからだを甘やかすか、じっくり観察するかで、それからの道は大きく違ってくると思いますよ。デスクワークなどで前かがみの姿勢が続いたと感じたら、下のエクササイズを行ってみてください。 Image 1.背中をまっすぐ伸ばし、肩幅に両手を上げる
2.両手を肩の真横に下ろす

肩甲骨から生まれる"陽"の連鎖

からだはすべて繋がっているので、肩甲骨が鍛えられれば、上肢や体幹がしっかりとしてきて、胸郭が上がり、バストアップにも効果があります。そうやって正しい姿勢ができれば、呼吸もラクになり、深い呼吸ができます。酸素がたくさん入るいい呼吸によってストレスも減るはず。また、肩甲骨は鎖骨とつながっているので、肩甲骨がどの位置にあるかで、鎖骨の印象も違ってきます。正しい位置に肩甲骨があれば、美しいデコルテが叶うのです。

このエクササイズなら、継続してできそうですね。美しい背中、きれいなからだを目指すには、観察し変化に敏感になること。今夜あたり、動画で後ろ姿を撮影してみません...か。(再生ボタンを押すのに勇気がいりますが)

Image

中村格子(整形外科医・医学博士/国立スポーツ科学センターメディカル センター研究員/横浜市立大学整形外科客員教授) 横浜市立大学医学部卒業。横浜市立大学附属病院、自治医科大学、日光市民病院勤務などを経て、09年より国立スポーツ科学センターメディカルセンター研究員。横浜市立大学整形外科客員教授。年齢や体調に応じた「正しい運動習慣、食習慣」を提案。『Dr.中村格子の全身コンディショニングでマイナス10歳ボディー』(NHK出版)、『整形外科医がずっと教えたかった医者いらずの体の整え方』(講談社)など著書多数。新刊『DVD付き もっとスゴイ! 大人のラジオ体操 決定版』(講談社)も好評発売中。

イラスト/190