小寒(しょうかん)/おなかを温めて内臓の疲れを癒して

文/伊藤和憲(鍼灸師・明治国際医療大学教授)
イラスト/中根ゆたか
小寒(しょうかん)

冬至が過ぎ、寒さがさらに厳しくなるのが、小寒(1月5日〜)です。小寒の節に入ることを「寒(かん)の入り」といい、春を告げる立春までの1か月が「寒の内」と呼ばれます。

小寒の行事のひとつ、1月7日に「春の七草」を入れた七草がゆを食べ、新しい年の健康を祈る習慣は、今も残っています。春の七草は、お正月に無理をさせた胃腸を休ませる意味があるともいわれています。新年のスタートにあたるこの時期は、まず内臓の疲れを癒し、からだに新鮮なエネルギーを送れるように調整しましょう。

小寒にケアしたいツボ

水分(すいぶん)
位置:おへそから指幅2本分ほど上。
方法:ツボに親指をあてて、ゆっくりと弱めに5〜10回押しましょう。おなかは「強く押しすぎない」ことが大事です。また、カイロやお灸などであたためることも効果的です。
効果:水分という名のとおり、体内の水分を調整してくれるツボです。下痢や便秘などの消化器系、さらには排尿などの泌尿器系にも効果があります。また余分な水分が排出されることで、むくみなどの解消にも有効が期待できます。

水分(すいぶん)


気海(きかい)
位置:おへそから下に指幅2本分のところ。
方法:ツボに親指をあてて、ゆっくりと弱めに5〜10回押しましょう。ここも、「強く押しすぎない」ことが大事です。また、カイロやお灸などであたためることも効果的です。
効果:下腹部にあるツボは、消化器系や泌尿器系・生殖器系に効果があります。便秘、生理痛や生理不順、不妊などにも効果的だといわれています。疲れが強く、やる気が出ないときにも、押してみてください。

気海(きかい)


太白(たいはく)
位置:足の親指の付け根部分にある、骨のでっぱりの少し後ろ側。
方法:あまり強く押しすぎず、ここちよい痛みを感じる程度に5〜10回押しましょう。また、お灸などをすえるのも効果的です。
効果:食欲不振や吐き気、下痢や便秘などに効果的なツボです。また、足にあるツボであることから、下肢を中心に全身をあたため、からだを整えてくれる役割があります。

太白(たいはく)
デザイン/WATARIGRAPHIC
  • 伊藤和憲
  • 伊藤和憲(いとうかずのり) 鍼灸師・明治国際医療大学教授・鍼灸学部長・鍼灸臨床部長
    1972年生まれ。鍼灸学博士。全日本鍼灸学会理事。明治国際医療大学鍼灸学部教授。明治国際医療大学大学院鍼灸学研究科教授、同大学大学院研究科長。2012年~2014年、厚生労働省科学研究費助成事業 地域医療基盤開発推進事業「慢性疼痛患者に対する統合医療的セルフケアプログラムの構築」, 2014年~2015年同研究助成事業「鍼灸における慢性疼痛患者の治療方針ならびに医師との連携に関するガイドライン」の研究班班長を務める。また、2016年より過疎化対策の一環として京都府南丹市にて養生の体験教室「MIYAMA 森の湯治場」、さらには奈良県宇陀郡曽爾村の美人プロジェクトを監修。明治国際医療大学附属鍼灸センター長を務め、「はり・きゅう」の治療に当たるとともに、慢性痛患者のためにセルフケアを指導している。 https://www.yojyo1192.com/