大雪(たいせつ)/寒くても「いい姿勢」で颯爽と

文/伊藤和憲(鍼灸師・明治国際医療大学教授)
イラスト/中根ゆたか
大雪(たいせつ)

山間部や寒い地域では、最初の大雪が降る「大雪」のころ。植物も動物も動きをひそめ、余計な体力を消耗しないようにじっとしています。人のからだも冬眠状態のようになってきて、生命を維持するために栄養をからだの中心臓器へ集めようと働きます。無意識に腰を丸めて、おなかを温める姿勢をとったりするかもしれません。その結果、腰痛が増えたり、腰が曲がったりして、一気に老け込んだように感じさせることもあります。

この時期は腰のケアをしっかり行い、いい姿勢を保ち、からだの循環をよくしましょう。

大雪にケアしたいツボ

天枢(てんすう)
位置:おへそから横に指幅3本ぶん外側。
方法:ツボに親指をあてて、ゆっくりと弱めに5〜10回押しましょう。強く押しすぎないように注意しましょう。
効果:胃腸の働きを整えてくれるツボで、特に「便秘」や「下痢」に効果があるツボです。おなか(腸)の弱い方は適度に刺激したり、お灸やカイロなどで温めるとよいでしょう。

天枢(てんすう)


然谷(ねんこく)
位置:内くるぶしの斜め前にある骨の出っ張りから、ややかかとより。土踏まずのくぼみにあたるところ。
方法:親指をツボにあて、気持ちがよいと感じる強さで5秒押して力を抜く刺激を、5回ほど行います。両足とも同じように行います。反対の手で足の裏側をつかむと、やりやすいでしょう。
効果:からだの全体バランスを整えるツボ。からだの中心を通るため、婦人科系・泌尿器系・腰・のど・心臓などの疾患に効果があります。

然谷(ねんこく)


百会(ひゃくえ)
位置:左右の耳を結んだ線と顔の真ん中の線が交差する場所にあります。指で押してみるとへこむ部分です。
方法:からだの中心に向けてあまり強く押しすぎず、ここちよい痛みを感じる程度に押しましょう。
効果:その名のとおり、たくさんのからだの流れが合流する(合う)ところです。頭痛やストレス、からだのバランス調整などに効果的といわれています。全身を整えたいときに活用しましょう。

百会(ひゃくえ)
  • 伊藤和憲
  • 伊藤和憲(いとうかずのり) 鍼灸師・明治国際医療大学教授・鍼灸学部長・鍼灸臨床部長
    1972年生まれ。鍼灸学博士。全日本鍼灸学会理事。明治国際医療大学鍼灸学部教授。明治国際医療大学大学院鍼灸学研究科教授、同大学大学院研究科長。2012年~2014年、厚生労働省科学研究費助成事業 地域医療基盤開発推進事業「慢性疼痛患者に対する統合医療的セルフケアプログラムの構築」, 2014年~2015年同研究助成事業「鍼灸における慢性疼痛患者の治療方針ならびに医師との連携に関するガイドライン」の研究班班長を務める。また、2016年より過疎化対策の一環として京都府南丹市にて養生の体験教室「MIYAMA 森の湯治場」、さらには奈良県宇陀郡曽爾村の美人プロジェクトを監修。明治国際医療大学附属鍼灸センター長を務め、「はり・きゅう」の治療に当たるとともに、慢性痛患者のためにセルフケアを指導している。 https://www.yojyo1192.com/