大暑(たいしょ)/おなかの調子を整えて気分も上向きに

文/伊藤和憲(鍼灸師・明治国際医療大学教授)
イラスト/中根ゆたか
大暑(たいしょ)

冷たい飲み物ばかりでおなかを冷やしてしまったり、さらに消化不良で下痢や便秘を起こしてしまったり。大暑の時期は「おなかの調子」が気になります。放っておくと、疲労回復ができず、気分をコントロールしてくれる脳内物質も合成できなくなります。おなかの調子を整え、からだも気分も元気づけて夏を乗り切りましょう!

大暑にケアしたいツボ

足三里(あしさんり)
位置:ひざの外側でお皿の下から指4本分下がった部位で、いちばんくぼんでいるところ。
方法: イタ気持ちいい程度に5秒押して5秒離す刺激を1セットとし、5〜10回行いましょう。なお、昔から足三里にお灸をすえることは、疲労回復につながると考えられています。そのため、内臓の調子が悪い場合には、ツボを圧迫するよりも、お灸やカイロなどで熱さを感じるまで温めるほうが向いています。
効果:胃痛・胃もたれ・胃炎・胃下垂など、胃の働きをよくする効果があります。また、腹痛・下痢・食欲不振・嘔吐、さらには疲労などの症状も改善します。

足三里(あしさんり)


中脘(ちゅうかん)
位置:みぞおちとおへそを結んだ線の中間。
方法:ツボに対して垂直に力を入れていき、やや弱めに息を吐きながら3秒間押して、3秒間離す刺激を、5回くらい繰り返し行いましょう。なお、ツボのあたりが冷えているときは、お灸やカイロなどを利用し温めることも効果的です。
効果:胃の調子を整えることで、食欲を増進させたり、胃腸に関するさまざまな症状(胃の痛みやむかつき・吐き気)などを調整してくれます。さらには、食べすぎによる消化不良など胃腸の不快症状にも効果的です。

中脘(ちゅうかん)


内関(ないかん)
位置:手のひら側の手首のしわの中央からひじに向かって指幅3本分のところ。筋と筋との間にツボがあります。
方法:徐々に力を入れて押していき、そのまま5秒ほど押し続け、その後徐々に離す動作を5回ほど繰り返しましょう。また、慢性的に胃腸の調子が悪い場合は、突起物のついたシールや米粒などを貼っておくとさらに効果的です。
効果:内臓機能と深く関係するツボで、特に消化器系の症状の軽減に効果的です。また、乗り物酔いや精神的なストレスによる食欲不振・胸の痛み・動悸・イライラ・肋間神経痛などにも効果を発揮します。

内関(ないかん)
  • 伊藤和憲
  • 伊藤和憲(いとうかずのり) 鍼灸師・明治国際医療大学教授・鍼灸学部長・鍼灸臨床部長
    1972年生まれ。鍼灸学博士。全日本鍼灸学会理事。明治国際医療大学鍼灸学部教授。明治国際医療大学大学院鍼灸学研究科教授、同大学大学院研究科長。2012年~2014年、厚生労働省科学研究費助成事業 地域医療基盤開発推進事業「慢性疼痛患者に対する統合医療的セルフケアプログラムの構築」, 2014年~2015年同研究助成事業「鍼灸における慢性疼痛患者の治療方針ならびに医師との連携に関するガイドライン」の研究班班長を務める。また、2016年より過疎化対策の一環として京都府南丹市にて養生の体験教室「MIYAMA 森の湯治場」、さらには奈良県宇陀郡曽爾村の美人プロジェクトを監修。明治国際医療大学附属鍼灸センター長を務め、「はり・きゅう」の治療に当たるとともに、慢性痛患者のためにセルフケアを指導している。 https://www.yojyo1192.com/