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2018年1月10日

先生/細川モモ(予防医療コンサルタント)

BODY

【特集/女のからだと代謝】

働く女性の栄養が危ない!?

----筋トレには基礎代謝だけでなく、運動後のエネルギー消費量もアップさせる効果がありますが、運動によって筋肉をつくっているたんぱく質が分解されてしまうのも事実。筋肉量を増やすためには、分解に対して合成を高める必要があるわけですが、たんぱく質だけとっても効果がないのだとか。筋肉量を増やすための食事法を、働く女性の健康サポートを行っている細川モモさんに伺いました。
すべての栄養をバランスよく、
適量とることで筋肉はつくられる
カロリーが不足すると筋肉分解が促進されるため、アスリートは筋肉を守るために1日3,000kcal以上を摂取しています。三菱地所と共同主宰している「まるのうち保健室」で、20〜30代の女性就業者約1,000名に食生活調査を実施したところ、20〜30代女性の1日に必要なエネルギー摂取量(身体活動レベルⅡの場合)が1,800〜2,000kcalなのに対し、平均1,500kcal未満という結果が出ました(※1)。この数値、終戦直後より少ないんですよ。そう言うとみなさん驚かれますが、1日1,000kcal以下の極端な食事制限ダイエットをしたことのある人は、食生活を戻しても1,000Kcalに対応するために低下した基礎代謝量は、7年経っても低いままになってしまうという調査報告があることも、知ってもらいたいことのひとつ。おやつなどのシュガーは抜いても、炭水化物を抜くダイエットを行うのは要注意です。炭水化物を摂取して血糖値を上げないと、筋肉もコラーゲンもつくられません。だからまずは、炭水化物を含む最低限必要のエネルギーを摂取することが、大事なのです。

バランスも重要です。「第3期まるのうち保健室」で大塚製薬とともに活性酸素の体内濃度を調査したところ、50代より20代のほうが高かったんですね。活性酸素は、言わずと知れた生活習慣病や老化の一因。本来なら加齢とともに体内の活性酸素濃度は上がるのですが、食生活が偏っている20代は、ポリフェノールやアントシアニンなど緑黄色野菜に多く含まれている抗酸化物質の摂取量が少ない。だから、50代より数値が高くなるわけです。この状態が続くと、活性酸素の攻撃を受けて筋肉が炎症により分解されてしまいます。筋肉の主原料であるたんぱく質や緑黄色野菜だけでなく、すべての栄養素をバランスよくとっている人は総合筋肉量が多く、かつ総死亡率が低いというエビデンスが出ていることからもわかる通り、バランスに勝る食事はありません(※2)。難しく考えず、赤、白、黄、緑、黒の5色を意識してみてください。5色そろうと自然にバランスは整います。
たんぱく質は毎食、
片手ひと盛り分を習慣に
たんぱく質は、とるタイミングがポイントです。寝たきりになると1日で1%筋肉量が減るのは、筋肉は24時間分解されているからなのです。1日に必要な量を1食にまとめて摂取するのではなく、毎食片手ひと盛り分の量をとるようにしましょう。たんぱく質を3食均等にとると、筋トレの効果が1.25倍になるという研究報告もあります(※3)。運動後は消化吸収のいいたんぱく質と炭水化物の両方をとると、より効果的(糖質の多い飲むヨーグルトはそれだけでOK)。サプリメントで必須アミノ酸のBCAAをとるのもありです。

ただ、たんぱく質は胃腸のコンディションが低下していると、吸収率も低下します。胃の中にピロリ菌がいる人はもちろんですが、女性はもともと男性より筋肉量が少ないため、長時間デスクワークをすると猫背になり、胃腸を圧迫してしまうのです。姿勢を意識すると同時に、腸内環境を整えてくれる海藻やきのこ類も積極的に食べましょう。胃もたれしやすい脂身の多い肉や魚には、かぼすやレモンを絞ったり、レモン水を飲むと酸が胃酸を刺激して消化吸収がスムーズになるので、実践してみてください。
※1『Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室」調査』©2015 三菱地所株式会社・一般社団法人ラブテリ
※2 BMJ 2016; 352 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.i1209 Cite this as: BMJ 2016;352:i120
※3 Mamerow MM.,t al., J Nutr., 2014. Dietary protein distribution positively influences 24-h muscle protein synthesis in healthy adults.

----「食事の回数と摂取カロリーは適正に近づけば近づくほど、加齢による筋肉量の低下も予防できますが、働く女性はダイエットのためというより忙しさゆえ食に意識が向かず、1日1〜2食になるケースが多いですね」と細川さん。また、基礎代謝の高いからだをつくるためには、鉄分が充足していることが大事だとも。鉄分がなぜ必要で、女性がどれくらい足りていないかについては、次回詳しくご紹介します。
細川モモ

細川モモ 予防医療コンサルタント。知るべき知識と得るべき機会を普及させるため、医療・健康・食の専門家によるプロフェッショナルチーム、ラブテリ トーキョー&ニューヨークを設立し、代表理事を務める。2014年には三菱地所と共同で、東京・丸の内に「まるのうち保健室」をオープンし、「働き女子1000名白書」をまとめる。『タニタとつくる美人の習慣』(講談社)、『「食事」を知っているだけで人生を大きく守れる』(ダイヤモンド社)、『成功する子は食べ物が9割』(主婦の友社)など著書多数。

取材・文/山崎潤子(ライター)
イラスト/はまだなぎさ

※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
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からだ用語辞典

  1. 基礎代謝
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