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  • 2020.02.12

「重力からバストを守る」ことの大切さ。2020年最新研究発表!

これまで長年にわたり「からだの動きとバスト」に関する研究を続けてきたワコールですが、2020年はエイジング研究においての新しい発表がありました。その内容には驚くべきバストの新事実も! カンファレンス当日の様子を報告します。

ワコール人間科学研究所の新研究発表カンファレンスのテーマは「重力からバストを守ること」。

仕事中でも寝ていても、バストは揺れている!?

エイジングに関わる研究としては、「スパイラルエイジング」(2000年)、「からだのエイジング」(2010年)がすでに発表されてきました。それから10年、2020年1月に行われたワコール人間科学研究所の新研究発表カンファレンスのテーマは「重力からバストを守ること」。

バストのエイジング変化

「からだのエイジング」では、誰もが上のステップのようにバストのエイジング変化は起こるものの、そのスピードは人によって異なるということはすでにわかっていましたが...。

「たとえば、走ったときのバストの衝撃、動いたときの揺れ...。そのときバストや皮膚はどのような状態なのかを探るべく、調査に取り組みました」というのは、ワコール人間科学研究所・坂本晶子。

この日研究発表に登壇した坂本晶子によると、「走っているときだけでなく、日常生活や睡眠時などでも、バストは動き、皮膚は動きに合わせて伸びたり縮んだりしています。走っているときは上下の揺れはもちろん、いろいろな方向へ揺れ、睡眠時はからだが上向き・横向きになるごとに、バストは流れる。私たちが想像している以上にバスト周辺の皮膚は伸縮を繰り返しているということがわかりました」。

では、バストのエイジングのステップによっても違いがあるのでしょうか。

「エイジングステップが進むとハリがなく、重力で引っ張られたときに引っ張り返す力が弱くなる、とわかりました」(坂本研究員)

そこで、それを実証するため、飛行機を使って無重力状態をつくり出し、計測することにも挑戦。無重力の状態は、バストが上がって丸い状態に近くなっていることがわかりました

無重力の状態は、バストが上がって丸い状態に近くなっていることがわかりました

加齢とともにクーパー靭帯が弱ってきます

感覚的にはわかっていたとしても、「重力がバストにダメージを与えている」研究結果を目の当たりにして、納得と驚きが入り混じった会場内。そこで登壇された奥田逸子先生(国際医療福祉大学 三田病院)が、雰囲気を和らげつつ、放射線診断のご経験から、乳房について語りました。

「乳房は夢とロマン、憧れがつまった臓器、私は大好きなんです。まずは乳房の構造を見てみましょう。ほとんどが脂肪で、その中に乳汁をつくる乳腺組織があります。これは乳頭を中心に放射状に広がり、きれいな形をつくっています。

バストの構造

そして乳腺の表面に、外に向かって立ち上がるようにあるのが、乳腺を支えるためのクーパー靭帯です。靭帯というと、ひも状のものを想像するかもしれませんが、実は放射状に立体的に広がっている、パイのメレンゲのような形をしているんですよ」(奥田先生)

奥田先生によると、乳腺は加齢にともなって収縮し、脂肪の割合が増えることで、バスト全体がやわらかくなっていくのだそう。

バストの構造
左が20代、右が40代のバストのMRI画像。

会場では、奥田先生が研究したMRIやCT画像が映し出され、寝たとき、立ったときなどで、乳房の形がどのようにゆがみ、重力の影響を受けているか、ビジュアルとともに紹介されました。

バストの形・やわらかさに合ったブラジャー選びを

「ブラジャーの重要性はわかったとしても、たとえば40代の人でも20代の人と同じブラジャーを使っていることも意外とあります。それでは、しっかりとバストを支えることはできません」(奥田先生)

バストの構造
左/20代向けのブラジャーを20代がつけた場合。
右/20代向けのブラジャーを40代がつけた場合。ブラジャーの内側に隙間ができている。

「年代ごとのバストの形・やわらかさに配慮したブラジャーを選び、包み込むようにして正しくつける。つけたら鏡で見て、きちんとフィットしているか確認も。大きく見せようとして、背中の肉を胸に回そうなどと乱暴なことをすると、かえってクーパー靭帯を誤った方向に引っ張りかねません」と、奥田先生は誤ったブラジャー知識をバッサリ!

「形・やわらかさ」を考慮したブラジャーをつけた場合(40代)。
"形・やわらかさ"を考慮したブラジャーをつけた場合(40代)。

「このように、年齢にそって変化するバストに合うブラジャーを正しくつければ、きれいにフィットします。乳房をいたわり、自分のからだに合ったブラジャーを正しく着用することで、美しい胸のシルエットを保つ努力はできるのです」と希望のもてるコメントもいただきました。

そして最後は、「いっしょに今後も頑張っていきましょう!」と、女性とバストへの大きなエールで締めくくりました。

取材・文/ワコールボディブック編集部