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インサイドストーリー

商品づくりの現場から

2017年11月 8日

語り/石田里代子(商品統括部 商品企画部 デザイン三課)
高橋知子(商品統括部 商品企画部 デザイン三課)

BODY

ラクちん、美胸、吸湿発熱であったか!3拍子揃ったインナーGOCOCiが完成するまで

着ごこちのよさと、バストラインの美しさで、発売後すぐにヒット商品となった「GOCOCi」。この秋冬には「GOCOCi」のインナーが登場し注目を集めています。「GOCOCi」の快適さや構造を引き継いだインナーを完成させるには、たくさんの問題や試練を超えなければいけなかった、と開発者が語ります。いったいどんな壁が...?! 完成までの道のりをたっぷり教えてもらいました。 GOCOCi
ノンワイヤーのピーナツ型パッド"GOCOCi"の
インナーづくりに立ちはだかる数々の困難!
――秋冬版「GOCOCi」の特徴について教えてください。

石田 「GOCOCi」が発売され、多くのお客さまに支持されていることから、今回冬用の「GOCOCi」をつくろうと開発が始まったのですが...。「GOCOCi」の魅力や特徴を引き継ぎながら、それを長袖で実現するには、想像以上の壁が立ちはだかっていました。

――たとえばどのような苦労があったのですか?

石田 「GOCOCi」の大きな特徴として、縫製ではなく「接着技術を駆使したフラットな仕上がり」がありますが、これがブラジャーではなく長袖となると途端にハードルが上がるんです。脇から裾にかけてのこの長い距離を"接着"するのは、特許問題なども絡んでとても難しいことが判明。と同時に、生地の問題も発生しました。 石田里代子 高橋 インナー「GOCOCi」は秋冬ものとして発売するので、暖かい生地を使うことを想定していたのですが、これが非常に困難でした。当初使用したいと考えていたアクリル生地は、"熱に弱い"つまり、接着が難しいということがわかり...開発は難航、「GOCOCi」の基準をクリアする接着力があって、なおかつ暖かい生地感を求め、何度も修正しました。

最後は、ワコールのニット系で使っていた糸で、生地をゼロからつくり直して、納得のいく綿混生地が完成。ようやく生地の問題を解決し、さきほどの設計の課題もハギの位置を変えるなどで解決。さぁいよいよこれでインナーの「GOCOCi」が完成すると思いきや...。
GOCOCi最大の特徴の
ピーナッツ型パッドをインナーにも装着
――またしても何か?!

石田 はい。そもそも、カップ付きの長袖インナーは、カップを安定させるために、ブラの下辺から背中までぐるりとゴムを通すことが多いのですが、着用した方からは「ゴムがあたって痛い・窮屈」という声がとても多いんです。特に、年齢を重ねると、お肉がやわらかくなるので、敏感にゴムのあたりを感じて、不快感をもつ方もいます。

高橋 今回は、「GOCOCi」の特徴である左右のブラパッドをひとつなぎにしたピーナッツ型パッドを使い、さらに着装感をよくするために"ラクしてちゃんと女子"を目指し、ゴムを使用しない方法を考えました。それは、商品の大きな魅力ではあるのですが、ゴムがないがゆえに、問題も発生しました。 左右のブラパッドをひとつなぎにしたピーナッツ型パッド 石田 これは思い出すのも辛い出来事ですが(笑)、最初のモニター会で問題点が明るみに出たんです。「GOCOCi」の長袖を製作することは社内でも注目を集めていたので、モニターさんの試着する場には設計や企画、営業メンバーなどさまざまな人たちが顔を出してくれたのですが、モニターさんが手の上げ下ろしをした瞬間、全員唖然。「パッドが上がって胸が4つに...」。 高橋知子 高橋 手を下ろした状態ではなんの問題もないのですが、上げると背中周囲をゴムで固定していない分、通常の袖の付け方では動いたあとにパッドが浮いてしまい、パッドから胸がはみ出てしまうなどの問題が起きたのです。これは一目瞭然の大失敗。見に来てくれた人のガッカリ顔、振り出しに戻ってしまったやりきれなさ、すぐには立ち直れないくらいヘコみました。

――どうやって立て直したのですか?

石田 まずは毎日腕を上げ下ろししては、動きについて研究する日々が始まりました(笑)。ワコールの人間科学研究所の資料から、人が腕を上げるとき、皮膚がどのような動きをするのかを研究し、なぜ腕を上げるとパッドが動いてしまうのか、その原因を解明していきました。すると、手を上げるときは背中~脇下部分がよく伸びていて、これはノースリーブなら問題ないのですが、袖があるとその分引っ張られるので、パッド付近の生地も一緒に引っ張られてしまった。完全に、脇の下部分の布が足りなかったと原因がわかったのです。 高橋知子、石田里代子
ブラ付きインナーでここまでの開放感、快適さを実現!
その秘密とは...!?
――なるほど。それででき上がったのが、こちらですね。通常のインナーと何が違うのでしょうか?

高橋 たとえばピタッとしたスポーツウェアなどで脇部分がメッシュになっているものって、ありますよね? 最初はあのマチの発想を使えないか、どれくらいの量の布が必要かなどを検討し始めました。そのために、前側は襟ぐりから斜めに切り替えの入った「ラグランスリーブ」で設計し、袖部分ではマチの機能も果たすように生地の余裕をもたせています。これで真上まで手を上げてもバスト部分の布は動かないんですよ。 上/GOCOCIパッド入り(8分袖)の袖型紙 下/通常の袖型紙 上/GOCOCIパッド入り(8分袖)の袖型紙
下/通常の袖型紙
――本当ですね!

高橋 ここに至るまでが大変でした。さまざまな方から出てくるアイディア...、たとえば「生地をT字にしたらいいんじゃないか」「脇の下を袋状にしてみたら?」などを試作するために、手縫いでひとつずつ検証しました。なかには、腕を上げてもパッドがズレないものもでき上がりましたが、機能的にはOKでも、見た目がかっこ悪いのは、「GOCOCi」のラインとしては違うだろうということもあって。

石田 最終的にはこの形にたどり着きました。ですから先ほどお見せしたときに「何が違うんですか?」と言ってもらえたのは、私たちにとっては「通常のインナーと同じように見えるんだ!」という、最高の褒め言葉でした。

ちなみに、ラグランスリーブは、後ろから見るとおばさんっぽく見えるとの意見もあり、肩から脇下まで直線の"セットイン"にしました。人からは見えないインナーとはいえ、着たときのかわいさにもこだわっています。

――全体の見た目も、あったかそうでかわいい模様だと思いました。

石田 生地自体はうすいのですが、デザインで温かみを出しています。薄くて、やわらかくて、伸度の高い生地は、フィット感も抜群です。 薄くて、やわらかくて、伸度の高い生地は、フィット感も抜群 ――背中にゴムがなく快適なので、旅先にもよさそうですね。

石田 はい。家に帰ってブラを外して過ごしたい!という方にも、日常使いにも、旅先にもいいと思います。新幹線など席にもたれかかっても1枚ですので、蒸れにくく、軽やかで快適だと思います。ぜひ手に取ってみてください。 GOCOCi
石田里代子

石田里代子(いしだ・りよこ) ワコールブランド事業本部 商品統括部 商品企画部 デザイン三課。ワコール入社後、ウイングブランド事業本部で主にボトム・ニットの企画開発を担当。2015年7月より現職へ異動。ニット・ショーツ・GOCOCi・ランジェリーのリーダーをつとめる。

高橋知子

高橋知子(たかはし・ともこ) ワコールブランド事業本部 商品統括部 商品企画部 デザイン三課。ワコール入社後、ランジェリーのパタ-ンを担当。その後ニットのデザイナーに転身し、現在はニットのチーフデザイナーをつとめる。

取材・文/大庭典子
撮影/合田慎二

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