トップ 美の流儀 / HEART 【番外編/学びと美を考える】自分らしさ、ここちよさを服に求めて

からだのために「やってる人」の奥の手公開!

美の流儀

2017年5月17日

語り/行司千絵(新聞記者)

HEART

【番外編/学びと美を考える】

自分らしさ、ここちよさを服に求めて

「美」をコンセプトにした学びの場、ワコールスタディホール京都と連動した美の流儀【番外編】。今回登場するのは、新聞記者として勤めながらも、これまで250着もの服を手づくりしてきた行司千絵さん。服をつくることで見えてくる「美」の考えをお聞きしました。 行司千絵さん ――新聞記者として忙しく働きながらも、服をつくるようになったきっかけは、なんだったのでしょうか。

10代からファッションが大好きで、流行もの、ブランドもの、モテ系...、とにかくいろんなものをひと通り経験してきました。それが、30代半ばを過ぎてから、体型も変わって、何が似合うのかいまひとつわからなくなってきて。お店に行っても欲しいものがわからない。そんな変化がきっかけになって、休日を使って服をつくるようになりました。ふだん着ている服の半分は手づくり、半分は既製服です。自分でつくれるものはつくり、つくれないものや上質なもの・凝ったものは、勉強代わりに買うようにしています。 母、友人、知人など、これまでに行司さんがつくってきた服を来た23人が登場。そこに込められた思いは、行司さんの家族の歴史であり交友録でもある。 母、友人、知人など、これまでに行司さんがつくってきた服を着た23人が登場。そこに込められた思いは、行司さんの家族の歴史であり交友録でもある。 ――ご友人の服などは、どんなプロセスでつくられるのでしょうか?

細かな注文を聞いたりはしませんが、相手がどんな服が好きかをお話ししながら、好きな色や雰囲気などを感じるようにしています。お話しをする中で、みなさんの服についての思い出が出てくることがよくあります。学生のころから気に入ってずっと履いている靴のこと、子どものころに着ていた服のこと...。そうした話からイメージを膨らましていって、服をつくるのですが、相手の方にとっては、自分の好きな服を思い出し、大事にしているもの、自分を支えているものを思い出すきっかけになるようです。ちなみに、布選びやデザインは任せてもらい、完成品がもし気に入らなかったら、私が引き取ることにしています。

――その「大事な服」を思い出してエッセイにまとめる体験が、ワコールスタディホール京都での講座「タテイトヨコイト ~あなたの大切な一着をエッセイに〜」でできるわけですね。

講座参加者には、ご自分らしくここちいい服を着て来ていただき、大事な服(または写真)を持って来ていただきます。こだわりや思い入れなど私から質問し、やりとりして、それを元に最後に400文字の文章にまとめます。これまで着てきた服、自分らしい服を振り返るきっかけになりますし、そこから新たなファッションを見つけることにつながれば、と思っています。

さらには、自分の好きな服をつくることに挑戦してみるのも、素敵ですね。自分が着るものなら、ちょっとくらいミシン目が乱れていてもいいんです。入門編としては、ゴムのスカートが簡単でおすすめです。お気に入りの端切れを見つけたら、パッチワークをしたり、表裏で違う布にしてみるのも楽しい。いろんなものに挑戦するうち、自分のここちいいものが見えてきたり、似合わないと思っていたものも着るようになったり。新しい扉が開けてくるかもしれませんよ。

――実際に行司さんのお母さまは、手づくりの服を着るようになって、とても変わったそうですね。

それまで、年相応の服を着ると老けて見えていましたが、パッチワークのコートや赤のワンピースをつくって着せてみると、すごく似合う。母は81歳になりましたが、服が変わったことでどんどん解放されて、髪を短くしたり、スニーカーやデニムもはくようになりました。うれしかったのは、街中で「その服素敵!」「どこで買わはったん?」などと、声をかけられるようになったこと。きっと、同じ年頃の人たちも、着る服がないと感じていたのでしょう。 行司さんが着ているサロペットも、自身でつくったもの。1着つくるのにかかる日数は、おおよそ「休日6回分」。長く着たいので、流行りを追うことはないけれど、サロペットのようにつくった後から流行が来ることもあるそう。 行司さんが着ているサロペットも、自身でつくったもの。1着つくるのにかかる日数は、おおよそ「休日6回分」。長く着たいので、流行りを追うことはないけれど、サロペットのようにつくった後から流行が来ることもあるそう。 ――服をつくり続けてきて、行司さんご自身はどんな変化がありましたか?

世間でいう「モテ系」「きれい系」とは違うけれど、自分がここちいいのがいちばんだと思うようになりました。いい布は着ごこちがいいとわかってきて、いい布選びにこだわるようになったりも。着る服に合わせてヘアスタイルも変わりましたが、今は美容師さんに完全にお任せです(笑)。

――自分に似合うもの・ここちいいものを見つける...。時間はかかるし難しいけれど、実践していきたいものです。

私もまだ模索中ですが、自分らしくいられたら、それがいちばん美しいのだろうと思います。また、美しく素敵な人はみなさん、自分らしさをわかっていて、そして年齢を問わず好奇心をもっている。私もそうありたいと思っています。 行司さんの「大切な一着」は、祖母が母のためにつくった手縫いのスリーピース。モノクロの写真は、1989年に行司さん自身が撮影しプリントした祖母のポートレイト。 行司さんの「大切な一着」は、祖母が母のためにつくった手縫いのスリーピース。モノクロの写真は、1989年に行司さん自身が撮影しプリントした祖母のポートレイト。

行司千絵 新聞記者
1970年生まれ。京都新聞文化部記者。趣味は洋裁で、独学で技術を習得。家族、友人知人に似合うと思う服を週末に縫い続ける。これまでに3歳から93歳までの約60人250着を作った(自分の服も含める)。著者に『おうちのふく』(フォイル)、『京都のシェフに習うお料理教室』(青幻舎)。

ワコールスタディホール京都 行司さんが講師をつとめるスクール講座情報
【シリーズ講座】タテイトヨコイト ~あなたの大切な一着をエッセイに〜
2017年5月27日(土)14:00~15:30

取材・文/南 ゆかり
撮影/ワコールボディブック編集部

※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
※この記事に含まれる情報の利用は、お客様の判断と責任において行なってください。

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