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インサイドストーリー

商品づくりの現場から

2016年4月27日

語り/石浦亜矢、小林真紀子
(ワコール インナーウェア商品企画部)

BODY

ついに、ハダカを超えるブラ誕生! 「SUHADA」開発秘話

「新しいワコール、はじまる」という印象的なCMでも話題を呼び、「SUHADA」ってどんなブラなの? と気になっている人も多いのではないでしょうか。 キャッチフレーズの「カラダに合わせてくれるブラ。」は、どのように誕生したのか。開発に至るまでのストーリーを聞きました。 SUHADA
ブラジャーを"否定"したら、
新しい発想が生まれた!
――「SUHADA」の開発は、どのように始まったのでしょうか?

石浦
 新商品の企画は通常、年に2回ありまして、だいたい7月と12月に始まるのですが、「SUHADA」に関しては、スタートが早かったのも印象的でした。チーム内になんとなく「次の商品を早くつくりたい」という空気が流れて、11月くらいには「ちょっと集まろうか?」と開発チームで話し合うことに。

――どんな話し合いが?

石浦
 これまで何度も新たな商品を手がけましたが、多くの場合、今あるブラジャーの機能を改善したり、問題の原因を探すところから始まります。「ワイヤーのあたりをもっとやわらかくしよう」や「ストラップの太さが...」のように。でも、「SUHADA」に関しては、最初から「ブラって、何のためにつけてるんだっけ?」(笑)という、根本的なことを誰からともなく話し始めたんですよね。その流れで「本当は裸だったらいいのに」や「地肌のままバストメイクだけできるとかね」などの意見もどんどん出てきました。 インナーウェア商品企画部「SUHADA」企画開発リーダー・石浦亜矢 インナーウェア商品企画部「SUHADA」企画開発リーダー・石浦亜矢 ――おもしろいですね。

石浦
 今振り返ってみると、最初に「ブラジャーの存在を一度否定するところから始めた」ことが、新たな発想を生んだのだと思います。そのなかで自然と、ハダカのような感覚でつけられる"カラダに同化するブラ"という大きなテーマ、キーワードが決定しました。チーム全員がこのテーマにトライしてみたい、これはいける! と感じたことで、今回すごくコンセプチュアルなモノづくりができたと思っています。開発、デザイン、マーケティングというチーム内の3部隊それぞれが自分の専門分野でできることに取り組みました。
緻密な構造で究極のつけごこちを追求
「3D同化フレーム」の正体とは
――具体的に「SUHADA」には、どんな特徴がありますか?

小林
 ヌードのようなここちよさを追求する一方で、ブラジャーの大きな役割であるバストメイクの機能は残すという、ふたつの矛盾する目的を叶えたことが最大の特徴です。

つけごこちのよさを求めたとき、固いワイヤーの違和感や圧迫感は最大の敵。ワイヤーは、金属ではなく、やわらかい樹脂のものを、また、通常の細い線ではなく、広い面のフレームをつくって、より自然なフィット感を出しています。

――フレームの位置にも工夫があるのだとか?

小林
 ブラのワイヤーといえば、普通はバストの下のふくらみから脇にかけてのバージスラインをガシッと固めて、支えていますが、「SUHADA」のフレームはブラのカップ内で、できるだけ肌から遠いところに入れて、ここちいい肌触りを追求しています。さらに、フレームの位置をバージスラインから少し内側に入れることで、フレームが骨に当たりにくい設計に。 インナーウェア商品企画部「SUHADA」開発設計担当・小林真紀子 ハード樹脂をソフト樹脂でサンドした「3D同化フレーム」の構造。従来のワイヤー位置よりも高めに配置し、痛くなりにくい。
インナーウェア商品企画部「SUHADA」開発設計担当・小林真紀子
――フレームが入っているのに、その存在が肌に伝わりにくいんですね。

小林
 素材と位置だけでなく、構造にもこだわりました。実は、ひとつのフレームの中には、固さの違うふたつの樹脂が入っています。バストメイクするための固い樹脂フレームは、やわらかな樹脂フレームで包んで、固さを極力肌が感じないよう、段階的にバストを支えています。

――細やかなこだわりが、ここちよさにつながっているのですね。

小林
 はい。通常、ブラのワイヤーが当たるときの痛みは、胴が丸い人と平らな人では、感じる場所が異なります。ですが、「SUHADA」のフレームの場合、樹脂でできた面状のフレームを使うことで、どんな胴のカーブにも、ピタッと添うことができる、「ブラがカラダに合わせてくれる」商品が実現したんです。私たちは、この新しい価値をもったワイヤーに代わるフレームを、「3D同化フレーム」と名付けました。
地肌が美しく見える
肌色のヒミツ
――デザイン面からはどのようなアプローチが?

石浦
 これまで、ブラジャーは下着のなかでもファッション的な感覚が大きく、美しい意匠のブラジャーで、バストを"着飾る"というような感覚があったと思うのですが、"同化"がテーマの今回、自分本来の美しさを最大限に助長するデザインにしようと考えました。これは"ありのまま"という言葉が世の中に広まったり、"エフォートレスファッション"がトレンドになるなど、時代の気分にも合っているんじゃないかと。

特徴としては、表面にヴェールをかけて、奥ゆかしさや凛とした美しさを表現しています。できるだけ下の柄が透けるように、かといって、薄すぎて破れることがないよう、ギリギリのラインを狙った素材を探しました。 SUHADAのデザイン 柄についても、3つに絞るのは本当に大変でした。多くの人の要望や想いを反映したら、なんと40パターンもできてしまって...。決定に至るまでには、混乱して、途方に暮れ、社内食堂で遠くの大文字を眺めながらデザイナーと涙したこともありましたね(笑)。

――ドラマティックですね。色についても"同化"というテーマに沿った肌色へのこだわりがあるそうですね。

石浦
 今回、5月に新たに発売される色を入れると、肌色だけで2色展開しています。「透けにくく、響きにくく、地肌に同化するブラが欲しい」という声は、夏になると増えますし、ならば、今回"同化"をテーマにした「SUHADA」を出すタイミングで肌色について深く追ってみたいと思ったのです。

肌色というのは、色単体で見ると、決して美しい色だとは言えません。そんな色を地肌に身につけて、きれいに見せるには何が必要なのか、専門家の意見も取り入れながら考えていきました。

――日本人の肌色の特徴などもあるのでしょうか。

石浦
 日本人の多くは、黄色がかった肌色をしています。ですから、一般的に販売している肌色の下着も、たいていは黄色がかった肌色なのですが、この色は、身につけると地肌がくすんで見えるのです。さまざまな肌色で試した結果、「赤みがかった肌色」のブラをつけたとき、地肌がきれいに見えることがわかりました。

のちに化粧品メーカーの研究者にお話を伺ったところ、この現象は、チークを入れるとお肌の血色がよく見えるのと同じだそうです。

――チークの効果を考えると、わかりやすいですね。

石浦
 自分の肌の色よりも赤みが強すぎたり濃度が高い下着をつけていると、服のうえからは黒くぼやけて見えるてしまう。逆に肌よりも薄い色の下着をつけていると、白く浮いて見えることもわかりました。 インナーウェア商品企画部「SUHADA」企画開発リーダー・石浦亜矢、開発設計担当・小林真紀子 ――赤みがかった肌色の下着のほうが、地肌になじみやすいんですね。

石浦
 そうです。肌が美しく見えることと、透けにくいというふたつの観点から、「SUHADA」の肌色は、少し赤みがかったものを用意しました。5月に出る新色の肌色は、もうワントーン明るいのですが、これは昨今の美白ブームや、若い世代に色白の方が増えていることに対応した肌色です。

こんがり焼けた肌の方などは、チャコールグレーも透けにくいですよ。この色もグレーに少し赤みを入れているので、肌がきれいに見えます。

――自分の肌色に合うのはどれかなと、選ぶのも楽しいですね。

石浦
 色を選ぶときに覚えていてほしいのは、同じ人でも、部位によって肌色が違うということ。カラダの前面よりも背面のほうが色が濃い傾向にあります。「下着が透けてほしくない部位」の肌色に合わせて選んでいただけたら、と思います。

――構造も色もデザインも、「SUHADA」にはチャレンジングな発想が満載ですね。

石浦
 肌触りや肌映え、ブラとカラダの一体感に納得していただけると思うので、ぜひ一度試してください。身につけた方にとって、「SUHADA」が手放せない存在になり、ブラジャーの新たなベーシックとなることを願っています。

石浦亜矢

石浦亜矢 インナーウェア商品企画部。「SUHADA」企画開発リーダー。1999年ワコール入社。「女神のヒミツ」「約束のブラ」「NATSU-BRA」などキャンペーンブラジャーのチーフとしてヒット作を生み出し、現在は商品企画責任者に。

小林真紀子

小林真紀子 インナーウェア商品企画部。「SUHADA」開発設計担当。2007年ワコール入社。ブラジャーの開発設計担当として、「女神のヒミツ」「約束のブラ」「NATSU-BRA」など、キャンペーンブラジャーの開発設計に携わる。

取材・文/大庭典子
人物撮影/合田慎二

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