トップ 教えて、ドクター! / BODY 【特集/あなたの足、大丈夫?】足トラブルに鈍感な日本人

からだの真実、世の中のホント。専門家がズバリ解明

教えて、ドクター!

2014年5月14日

先生/桑原 靖(足の診療所 表参道 院長)
取材・文/大庭典子(ライター)

BODY

【特集/あなたの足、大丈夫?】

足トラブルに鈍感な日本人

Image
古代から現代まで、足の悩みは尽きることなく...
フットケアの歴史をひも解いてみると...なんと紀元前にまでさかのぼり、その様子は、古代エジプトの墓の入り口の壁画にも描かれているのだとか。さらに、あのナポレオンも専任のポダイアトリスト(足の専門医)を抱えていたとのこと。

古代人も革命家も足の不調に悩んできたなんて、と親近感を覚えてしまいますが、さまざまなことが便利になった現代でも、人間が歩き続ける限り、足の悩みは尽きません。今回は、昨年初めて日本にオープンした"足専門の診療所"足の診療所 表参道の院長、桑原 靖先生にご登場いただき、お話をお伺いします。

「"足専門の診療所"と聞いて、ピンとこない方も多くいらっしゃると思いますが、アメリカには"足科"があり、メディカルドクターとは違うライセンスをもった足専門の医者が存在するのです。アメリカ人は、足が痛くなったら足科へ行くのがスタンダード。街のいたるころに"足専門のクリニック"があり、その数はおよそ13000施設と推計されています。まるで歯医者さんのように足の診療所が街に点在しているのです。

ところが日本で足の不調を抱えた場合は、巻き爪だったら形成外科? 水虫だったら皮膚科? 外反母趾だったら整形外科かな? と自分で探り探り病院を訪ねなければなりません。足の病気は、どういうわけかどの診療科からも浮いた存在となっているのです。

足の診療所をオープンさせてから1年経ちますが、診療所を訪れた人は、初診で4000人を超えています。これは日本人に足のトラブルを抱えた人がいかに多いかを物語っています。

院外調査でとあるモールを歩いている方の足をランダムに見せていただいたところ、自分では何の問題もないと思っていても、「一度病院で診察させてもらいたい」と感じたのは全体の3割くらい、「治療が必要」だと感じた人も1割ほどいました。

頭痛や内臓などの痛みに比べて、少しくらいの痛みなら「病院に行くほどではない」と自己判断されてしまうのも足の病気の特徴です。ちなみにこのときに「問題なし! 健康そのもの!」と思ったのは全体の1割程度でした。
慢性的な「足の痛み」はレッドサイン?!
では、健康そのものの1割を除いた9割の人が病院に行くべきかと言えば、そんなことはありません。人のからだはよくできたもので、悪い箇所があると、ほかの部位でかばったり、痛みから逃げるようなクセをつけたりと、"代償機能"が働くのです。逆に言うと"痛み"を伴うほどまでになったら、"代償機能"も効かないほど症状が悪化しているということ。がまんせずに適切な病院へ行くべきです。

軽視されがちな巻き爪やタコなど足のトラブルも注意が必要です。私は長年糖尿病患者の足を診ていたのですが、足のトラブルに糖尿病などが重なると、最終的に足の切断をしなくてはならない事態にまで陥ることがあるのです。

糖尿病の方は足の感覚障害を合併しており、巻き爪やタコなどのトラブルが起きた時に痛みを感じられなくなります。 その結果、これらが重症化することで足の壊死(えし)が進んでしまい、切断しなくてはならなくなってしまうのです。日ごろから痛みを伴う足のトラブルには、よく注意して解消していくことは、とても大事なことなのです。

ところで、足の病気をわずらっている人は、圧倒的に女性のほうが多く、世界的な推計では男性の約4倍とも言われています。診療所の患者さんの男女比を見ても約7割が女性です。原因はさまざまに考えられますが、女性のほうが、関節や組織に柔軟性があるために外反母趾など足に変形が生じやすいこと、日々の生活で高いヒールを無理して履いている人が多いことも、足のトラブルにつながっています。特にヒールは女性のファッションには切り離せないアイテムだけに、問題も深刻。次回はヒールについて、掘り下げて考えてみましょう」

確かに、足の痛みに関しては深刻にとらえず「とりあえずがまん」していた気がします。それが"代償機能"もお手上げによる痛みだったとしたら...怖いですよね。毎日痛みを伴うことなく、快適に歩けているのか、もう一度チェックする必要がありそうです。
Image

桑原 靖 埼玉医科大学 医学部形成外科卒業。糖尿病性潰瘍による足の切断を目の当たりにし、足のトラブルを抱える方が多くいることを知る。足を専門的に診る医療機関がほとんどない状況に疑問をもち、『足の診療所』を開院。米国足病医から足病学を学び、足のことでどの診療科を受診してよいかわからなかった患者に対し、ストレスフリーの第一歩を踏み出せるよう、専門的なケアを提供し、足の悩みの解決に努める。

イラスト/190

※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
※この記事に含まれる情報の利用は、お客様の判断と責任において行なってください。

関連キーワード

  1. 桑原靖

ワコールをフォロー

  • facebook ワコール Wacoal corp.ページ
  • Twitter ワコール公式アカウント
  • RSS